電子カルテ二次利用データ活用完成

今回の電子カルテの更新にあたって、私たちがfeaturした点があります。
それは、電子カルテデータの二次利用です。

まぁ、二次利用電子カルテ更新にあたってテーマとしない病院はないでしょうが(笑)、テーマを掲げるだけで結局は電子カルテベンダーお仕着せのDWH(データウェアハウス)を導入して「使えねー」って言っている病院が大多数だと思います。

私たちはまず医療という分野から一旦離れてみました。具体的には製造業や物流業などの他業種はいったいどうやっているのか、どんなツールを使っているのかを展示会(DWHエキスポ等)や勉強会を通じてリサーチしました。

そこで得たのが「BI」と「ETL」という二つのキーワードです。
ETLはデータソースの統合・集計ツール。BIはETLで出力されたデータの可視化ツールです。これらを用いてデータの活用をしようというのがひとつ。更には私のようなシステム屋でなくてもデータをアウトプット出来ること。極端に言えばSQL文を書くなどもってのほかで、マウス操作などGUIベースで作れるものを探しました。
どうやら世の中の病院事務屋は自分で毎日・毎月同じ作業をすることを生業としている人が多いように思いますが、本来それで満足していてはいけません。毎日・毎月同じデータを出し続ける作業の無意味さを解決すべき問題として捉えるべきです。
というか、単純に私と親友は極端な面倒臭がりなのでルーチンワークというのは大嫌いです。だから、誰でもデータを作れて、一回作ったら後は自動化出来る「仕組み」を作ることが大きな目標でした。
 
で、やっと僕と親友が目指したものが出来上がりました。

上の写真のように、様々なデータをグラフによる可視化し、ブラウザでみてもらう。データ生成はもちろん全自動。
電子カルテからのデータだけでなく、医事会計からもデータを抽出し統合したものです。
見えている部分(BI)もすごいですが、裏にあるETLツールが本当にすごい。私たちは電子カルテのDWHと分ける意味で「三次利用DWH」と呼んでいます。
療養休暇から復職してしばらく半日勤務が続き、今月からフルタイムで働くようになりましたが、そんな短時間で以下の情報が一目で分かるページが出来ました。

  • 現在の病床稼働率
  • 病床稼働率の推移
  • 外来患者の予約・受付状況
  • 救急車センターの患者動向(救急車?ウォークイン?)
  • 救急車受け入れ状況
  • 救急患者の入院・帰宅状況
  • 診療科・医師別手術件数
  • 麻酔別麻酔件数

 
これらが、必要なタイミングでニアリアルタイムだったり日次で最新の情報が表示されます。Flash使ってるから動的に見れて楽しいし!更にもう少し詳細にデータを見たければ見たい部分をクリックすればドリルダウンしてくれます。
人の手を介さずにこれらのデータが一目で分かるようにする仕組みを実現している病院が果たして日本に何病院あるでしょう?
長野の田舎病院でもここまで出来るんです!
これらのデータを作っていて、本当に心からワクワクしました。夢半ばで病院を去った親友と夢見たものが得られた満足感と、これからどんなデータを出そうかという期待感でです。
今出せているデータは経営的なデータですが、診療の質評価まで広げてこその仕組みだと思っています。
そして「データが出ないから経営判断が出来ない」と言ってきた病院幹部の真価が問われる、これは諸刃の剣なのです。
 
というか、以前から取り組んでいる看護の可視化。次はこれをやらなければなりません。

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