医療機関にとってGoogle AdWordsは広告か

医療機関の広告について少し考察。
目的はGoogle AdWordsに広告すること。私の勤務する医療機関ではがん診療などに力を入れており、治療実績も全国ランキングに入る診療科もある。これを効果的に広告することで患者増を狙いたい。もちろん広告するに足りるコンテンツ(治療実績などの客観的情報)が必要であることは言うまでもない。
事例としてあるかどうか試しに「がん」でGoogle先生に聞いてみたのだが、医療機関のスポンサーリンクは見事に1件もない。「これはやはり禁止されているのか」と判断しかけたわけだが、念のため調べてみた。
 
まず、原則的に医療機関の広告は禁止されている。不当な広告とは総じて受益者に不利益になるのだが、とりわけ医療においてはその被害の度合いが著しいという観点からである。
「原則禁止」の中からポジティブリスト方式で「これはOK」といった具合に広告できる項目がガイドライン医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン))として記されている。
具体的には

  • 学術論文・学術発表
  • 新聞・雑誌の記事
  • 患者の個人的な体験談・手記
  • 院内掲示・院内配布パンフレット
  • 職員募集に関する広告
  • 患者からの申し出によるパンフレットやメール送付
  • ホームページである。

広告できる項目としても別途定められており、当然のことながら論理的・客観的事実のみである。
ささやかな疑問として駅にある看板、あれポジティブリストに入ってないんじゃね?と感じたが、それはスルーする。
今回問題とするのは「ホームページ」での広告。
ポジティブリストで許可されている理由は

インターネット上の病院等のホームページは、当該病院等の情報を得ようとの目的を有する者が、URLを入力したり、検索サイトで検索した上で、閲覧するものであり、従来より情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告とは見なさないこととする。

という理由である。検索などの能動的行為の結果であるので、広告ではないという考え。
ただし注釈として

また、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にした場合などでは、バナーに表示される内容や検索結果として画面上に表示される内容等については、実質的に本指針第2の1に掲げた?〜?のいずれの要件も満たす場合には、広告として取り扱うこと。

ちなみに指針第2の1の1〜3とは

1.患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
2.医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
3.一般人が認知できる状態にあること(認知性)

である。
Webサイトは広告じゃないから好きにやっていいよ。ただし、今回取り上げるGoogle Adwordsのような広告(スポンサーリンク)に関して言えばダメということらしい。
 
ところがどっこい、上記ガイドラインに対するQ&Aで

Q1−4 インターネット上のバナー広告は、ガイドラインで広告規制の対象であるとされてますが、バナー広告は禁止されるのでしょうか。
A1−4 医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項であれば、バナー広告は可能です。例えば、以下のようなバナー広告をインターネット上に掲載し、当該医療機関のホームページにリンクを張ることは、差し支えありません。
○○病院(所在地○○県○○市) ○○駅徒歩5分
内科、小児科、外科、整形外科 詳細は、当院ホームページへ

ガイドラインでは規制しておきながら、Q&Aの中で「OK」を出しているではありませんか。なんというトラップ。
というか、「規制の対象だけれども禁止ではない」という論理はどうにかしてもらえないか厚生労働省
 
試しにやってみるかな。