博士課程に進学します!

孔子曰く

吾十有五にして学を志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。
五十にして天命を知り、六十にして耳順う。
七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず。

私はあと2ヶ月で40歳になります。彼の言葉では「不惑」に入るわけです。
ここまでの人生を振り返ると、
15歳で学は志さず(笑)、29歳にして大学編入という遅咲きっぷり。
ですが、30代では、大学院進学と修士号取得。
そしてなにより大きな出来事は自分の病院の電子カルテ更新。
それまで何年も温めていたことを実現する一大イベントでした。
結果、心を壊すという大きな代償を払いましたが、総務大臣から賞を頂いたり、あるベンダーさんに担がれて全国講演ツアーをさせて頂いたり、実りの大きい10年でした。
 
で、40歳を迎えるにあたり「この先10年をどのように過ごすのか」というのがここ数ヶ月の私のテーマになっていました。
第一の選択肢は「働かない」(笑)。定時で退社して、家族と一緒に晩酌しながら晩御飯を食べ、風呂入って寝る。この最上級の幸せを楽しむというのはなによりの贅沢ですよね。
でも、たぶん僕は目標を持っていないと生きられない、淋しいと死んじゃうウサギさん。
毎日毎日せっせと仕事してタスクをこなすだけでは飽きちゃうから、「働かない」のは無理という結論に。(毎日のタスクをこなすことが「働く」事とは思わないです)
じゃぁどうしようかなーと考えていた時にふとある大学の入学案内のパンフレットに出会ったんですね。これからの人生に対する茫漠とした不安の中に光明が差し込んだ瞬間でした。
 
そこから数週間悩みましたが、やっぱり「突き詰めて考える」ことは僕に必要であること、なにより成長著しい部下に追いつかれないように足を止めないでいることは大事だと、そして親友とフュージョンするその日まで切磋琢磨する自分でありたい、いろんなことが僕を後押しして、この結論に達しました。
 
そして、これを書いている元旦2時25分。「年の始めはさだまさし」を見ながらこのエントリーを書いていますが、今年のエンディングソングは、あの日「自分が風に立つライオンでありたいかわからない」と書いたまさにその曲、「風に立つライオン」です。
なんだか出来過ぎた40代の幕開けでゾクゾクしちゃいました。
 
悩んで悩んでこの先10年の生き方を決めました。もう惑わないと思います。 
私、博士号取得目指しちゃいます!

僕は「現在(いま)」を生きることに思い上がりたくないのです
風を切り裂いて落下する滝のように
僕はよどみない生命を生きたい
キリマンジャロの白い雪
それを支える紺碧の空
僕は風に向かって立つライオンでありたい。

そしてまた一人・・・

先週にベンダーさんの本社の人が退職するというエントリーを書いてまだ間もない。
今度は、ウチの病院に常駐で来ているSEさんが出向元の会社に戻るそうだ。
出向で来ているかどうかなどは問題ではない。病院側(言い換えれば僕)からすれば彼はベンダーのSEだし、彼には電子カルテ立ち上げの時から看護を担当してもらっていたこともあり、当院で看護のエッセンスをたっぷり吸収して看護を語れる立派なエンジニアになってもらおうと思っていた。
だから時には厳しいことも言ったし、彼に出来るだけ現場の声が届くように立ち振る舞ってきた。
「手塩にかけて育てる」つもりで可愛がってきたのだ。
医師を始め現場は「ベンダーは現場を知らない」と頻繁に口にする。私から言わせれば知らないのは当たり前だ。だって、現場に病院職員でもない、医療者でもない人がいたら邪魔でしょ?文句言うなら現場で1ヶ月ぐらいエッセンスを教えてあげなよ。
もちろん多くの患者を抱えてそれが出来ないことは十分承知。だから出来ないことを言うなと。(笑)
だから、僕らが間に立って、トランスレーションしているわけでしょ。
彼には多くのことをトランスレーションして伝えたつもり。それはいつかこの電子カルテに彼の気持ちが反映されることを期待してのことだ。
 
しかし、今月末で出向元に戻るとのこと。
年齢や今後のキャリア設計などいろいろな事情があるのは分かる。
社会において人は流動するもの。とりわけIT業界はこれが激しいのもわかっているつもり。
 
でもね、でもね。淋しいよ。

人は出会い、別れるもの

一生の中で自分にとって大きな影響を及ぼす人物との出会いはそんなに多くない。
私生活においてもビジネスにおいても。
ビジネスにおいて私の中で「大きな影響」を及ぼしてくれた人物からメールが舞い込んだ。
『今月いっぱいで退職します』とのこと。
 
彼は私とよく似ている。
タカ派であり、理想論を掲げて現状を批判する。
こう書くと聞こえは悪い。
しかし、言い換えればこうだ。
理想論として「どうあるべきか」が先にあり、「それの実現のための問題・課題は何なのか」と言い換えれば進歩的に聞こえる。
書き方のアヤだ。
彼とは「どうあるべきか」「問題はなにか」について意見が食い違ったことは記憶に無い。だけど、言葉のアヤをステークホルダーに上手く喋れない生き方下手も一緒だった。
自分とそっくりな人物に巡りあう確率は非常に少数だが、僕は出会った。
 
そして今の僕がある。「あるべき姿を実現出来た」からで、それは彼のおかげだ。
 
その彼が退職する。
 
自分にそっくりだからなんとなくわかる。生き方が下手だから・・・。
そんな彼へのメールの返信はまだ書けていない。罵声を浴びせたい気持ちと感謝の気持ちが二律背反している。
 
でも、彼に贈る曲はこれだ。

これからの10年のために

よく寝れなく、この私が5:00に起きて書いてます。
今日で2013年11月も終わりですね。秋の足音を感じたと思ったらもう信州は冬です。おはようございます、歌丸です。
 
明日から師走。年が明けた弥生で私は40才になります。
この師走は、私の40代を大きく左右する決断を迫られる月となるでしょう。
 
そんな昨夜、ふとこの曲が聞きたくなり、YouTubeで聞いて涙しました。
自分は風に立つライオンでありたいのか分からないのです。

コピー複合機、データ丸見えも

出勤するとモーニングコーヒーをタンブラーに入れてもらいに病院の中の喫茶店に寄るのが毎朝の日課です。
で、今朝の新聞の一面がふと目に入りました。
コピー複合機、データ丸見えも 対策不十分なら、政府調査へ
いやー、当院は院内のほぼすべてのプリンティング機器がリコーです。リコーのソリューションを最大限に使っている病院です。
 
まぁ指摘されている機能があるのは知っていますが、当院では用がないので使ってませんがね。
 
しかしながら腑に落ちないことが。「なぜインターネットから見えるのか?」という点です。
静的NATしているなら対象の装置は1台のはずですし、そんな意味もないルーティングの設定をわざわざする人はいないと思います。
では、複合機複数台にグローバルIPを振っているのでしょうか?もしそうなら複合機以前にクライアントのセキュリティの心配をしなければなりません。ていうか、IPV4枯渇問題の時にプライベートIPに置き換えしてないのでしょうか?
とにかく「外→中」は全ポートAll Denyが基本なのに何故見えるのか。興味深いです。

信頼するということ。そしてその崩壊。

電子カルテに限らず、大多数のシステムで「開発」ー「構築」ー「企業の情報システム部門」ー「ユーザー」という構図がある。
ユーザーは「開発は現場を知らない」と愚痴る。だってそんなフローは無いのだが、ユーザーは「お客様は神様だ」の理論でいるから、自分の意見が通らなければそのベンダーは「使えないベンダー」となる。しかしそれは解決の最善手ではない。
その中間にあって大事なのは「構築」と「(企業の)システム部門」なのだ。
互いに互いの知識を咀嚼して相手に伝える。これが求められるスキルであって、最も大事なのは「真摯であること」だ。(付け加えるなら「分かりやすくTranslateするして伝えること」ことも重要だ。)
 
でも、当院において、病院のシステムリーダー(私)とベンダーのある担当の「お互いに真摯であること」「相手を信頼すること」という関係は終わりを告げた。
喧嘩したとかではなく、あまりの怠慢さにほとほと愛想が尽きた。
怒りは当然あるのだが・・・なにより無念でならない。
 
これから信頼関係を再構築する努力をしなきゃいけないのかな。男女交際と同じで、片方が好きなだけじゃ成り立たないんだよな。なんで顧客がこんな思いをしなきゃいけないのかな。
 
客観的事実として、僕は涙を流しながらこのエントリーを書いている。
 
「いつも感謝。冷静に丁寧に正確に。みんなの夢が叶いますように。 」は叶わない夢なのか。

「優しさ」と「ありがとう」を伝えに大阪に行ってきたで

ウチの病院で使っている電子カルテは、本社は東京なんだけど開発拠点は大阪なのねん。
東京は前モデルや医事会計などを中心にやってるねん。
 
でな、去年は東京の本社でSEさんたちに喋らせてもろたんやけんど、そん時からベンダーさんに頼むわぁ言うてたのが、「実際に作ってる大阪に呼んでくれへんか?」ってことなんや。でもな、去年は大学病院の稼動が数件ありSEさんたちも手一杯ということで実現出来なかったんやけど、今年のユーザー会で再度社長に直訴し(笑)やっと実現の運びとなったねん。
話は逸れるけど、ウチのベンダーさんのユーザー会、去年は私が喋って、今年もウチの診療情報管理室からパス専任ナース(兼診療情報管理士)がご指名されて喋ったねん。
某F社から乗り換えた新参者のくせに毎年喋って、「またあそこの病院かよ」と言われてるかもしれへんけど、そんだけの取り組みをしているのだからしゃぁないわな。(自画自賛
 
てなわけで、去年の私と今年のパスナースとセットで(笑)大阪行ってきたねん。1粒で足りんかったら2粒や、お得感を出してみたでwww
パスナースはパスのこと、私はこの電子カルテの「いいところ悪いところ」と「電子カルテデータの活用」について喋らしてもろた。
「あの機能がダメだ」「ここが使いにくい」は医師でも出来るけん、つか、そんなのは開発にぎょうさん届いてて当たり前じゃけん、ワイは同じエンジニアとしての意見を申し上げてきたねん。
要は「優しさが足りない」って。(Engineeringのえの字もないがな、ここはツッコミどころやで)
 
でもな、「優しさ」って大事やで。
現場で使う医療者のこと、その影響(プラスもマイナスも)を受ける患者さまのこと、そっただことをImagenationしてソフトウェアを作ることを常に持っていなければエンジニアとしてあかんねん。それを忘れてもうたら、それはただのプログラマやけん。
そんな感じで「ここ『優しさ』足りてないよな」的な例を踏まえながら話をしたのと、あとはやっぱりワイが切望して止まんかった「ありがとう」という言葉を伝えてきたっち。
以前のエントリーにも書いた・・・・
来る日も来る日も現場(病院からも構築からも)から叱責され、上がってくるのは改善要求ばかりで、褒め言葉なんてこれっぽっちも届かない。そんな毎日を送っていたら「自分たちが作っている電子カルテってダメなんじゃないか」って思ってしまうじゃない。だって人間だもの。みっぉwww
だから私は私の口から直接「みんなの作ってる電子カルテは大きな可能性を持っている電子カルテなんだよ。病院側で出来ることはしっかりやっちゅうけん使う側がしっかりしてればこんな凄いことが出来て当たり前なんだよ。だからワイはあんたらの作るプロダクトに期待しちゅうねん。だから自信を持ってこれからも頑張って。ありがとう」と言ってきたのね。
 
「ベンダーに対してありがとうとな!何事だ!」とか感じる人、おるやろうなwww
ウチの病院の中から「ありがとうと言える製品か!」との声も聞こえて来そうじゃけんのぅwww
じゃけん、ワイが言わないで誰が言うっちゅう話や。この電子カルテのために身銭切って大学編入して大学院まで出た類稀なる馬鹿野郎のワイが言わんでどうするっちゅう。電子カルテの中身も外見(そとみ)も酸いも甘いも汗も涙も知っちゅうワイが言わんでどうするよ。中途半端な覚悟やったらここまでやってないけんね。
顧客の全てのニーズを満たすシステムなんて存在せぇへんし、電子カルテだって同じや。良い面も悪い面もある。硬直して立ち止まっているシステムや、アーキテクチャの進歩に追いつけずに立ち止まざるを得ないシステムなのかそうでないかが重要なんや。
せやからワイは「ありがとう。これからも頑張りや」言うて来たんや。
そこには打算も駆け引きも一切なしや。エンジニア同士や、それでええんや。
 
「優しさが足りていないと言ったネガティブな部分を多く受け取ったか、「ありがとう」のポジティブな部分を多く受け取ったかはその人次第じゃけんワイは分からん。
願わくは「ありがとう」の気持ちが多くのエンジニアさんたちに届いているとええなぁと思うっちゃ。
 
「EGMAIN GX」でGoogle検索最上位を1年ほどキープしたネタでこのblogも紹介してきたで、このエントリーをみんな改めて見てくれると嬉しいけんね。
 
なんとなくというか無理やり大阪弁ぽく描いてみたで。桃鉄風になってるけど気にせんといてや。信州人の大阪弁リテラシーはこんなもんじゃけん許してな。
ほな、おおきに。

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