看護必要度2016年度改定シミュレーションしました

さて、年度末の中医協の中間とりまとめを踏まえ、2016年春の診療報酬改定に向けた施設基準、とりわけ一般病棟用の重症度、医療・看護必要度界隈が慌ただしくなってきましたね。
大きくは

  • M項目の新設(全麻の術後なら問答無用で基準を満たす)
  • 認知症・せん妄の評価
  • 救急入院の評価

 
といった所なのは説明する必要は無いでしょう。
 
今後注目されるのは、看護必要度の施設基準が何%になるかですね。
厚生労働省は25%と言っていますが、日病や全自病の偉い人から強い反発が出ています。
個人的には20か23%のどちらかになるのではないかと踏んでいます。あえて言うなら23%だと思ってます。
 
そんなこんなで、私のお仕事としては、新基準になった場合のシミュレーションです。もう、改定前の恒例になりつつあります。勘弁して欲しいです。
年が明け、3日ぐらいかけてロジックを作っていました。
2015年1年間の全患者データに対し、救急受診・手術(麻酔法)を結合して、新設のB項目を足しこんでってな具合です。
当院は病棟種別を問わず看護必要度全項目をチェックしているので、ハイケア評価にある「危険行動」「指示が通じる」のデータがある点が良いですね。
 
ま、そんな訳でシミュレーションしてみたんですが、なんと現行基準(2014年度基準)から4%ほどしか上昇しない結果となってしまいました。
要は20%ぐらいってことですよ、奥さん。
25%なんて夢のまた夢の状況じゃないですか、奥さん。
M項目の新設にともなって外科系は非常に良い数値なんですが、内科系がとにかく低値なんですわ。
このシミュレーションから抜けているのは以下ぐらいなもんです。

  • 無菌室治療
  • 開胸・開頭や腹腔鏡下かどうか分からないので一般の全麻(3日)で見ている

 
無菌室は当院は2床しか無いし、3日以上に該当する手術も20%という数値を大きく底上げするとは考えづらいです。
それを踏まえると、この数値が当院の実力ではないかと思うのです。
どうしましょう。困っちゃいました。
 
もし、対策するのであれば、以下の点でしょうか?。
2016年度基準で、B得点が3点未満でA得点が2点の患者が全体の1割程度存在していることが分析結果から分かっています。
この患者のA得点を1点引き上げる努力をすれば20%という数値は大きく改善するはずです。
他方、B得点が3点以上でA得点が1点の患者さんも同じように全体の1割います。前者と合わせれば全体の2割の患者さんにあと1項目評価することが出来れば劇的に改善します。
しかし、しかしですよ、奥さん。
A項目は医療に関する評価項目です。むやみに上げるということは、すなわち過剰医療の提供です。言うまでもなくあってはならないことなのです。
実際問題、とりわけ低値である内科系でA項目をあと1点稼ぐのは至難の技です。専門的な治療・処置で2点の患者さんに「あと1点!」と求めても、評価できる項目無いですよね。もちろん、専門的な治療・処置の無い患者さんに不要な治療を施すことも出来ませんよね。
ということは、2014年度改定の際のように「(術後は)心電図モニターの装着」のような力技で稼ぐことはかなり厳しい状況であると言わざるを得ません。
 
というわけで、手詰まり感のある診療報酬改定に向けた看護必要度シミュレーションの中間報告でした。

■後日談がありますので、ぜひお読み下さい。
看護必要度2016年度改定シミュレーションしました-その後