ナースはいつ看護記録を書いているのか

昨日のエントリーでは、端末があるが故に、勤務入りの情報収集に早く出勤して来てしまうナースが居ると書きました。
では、何を情報収集しているのかについて思考を巡らせると、おそらく前回の勤務から今日までの看護記録を読み返すのが大きなウェイトを占めているのではないかと思います。
また、勤務後に次の勤務のナースに端末を取られる心配がないので勤務中に記録を行う必然性が無くなってしまっているのではないかとも考えました。
 
そこで、昨年一年分の看護記録を総ナメして15分刻みの時間帯グラフをサクッと作ってみました。時間は記録が保存された時間(=書き終わった時間)です。

  • 赤い縦棒が記録の件数
  • 青い折れ線が平均の文字数

です。
過去1年の入院中の看護記録は40万件ちょっとですので、要素数としては充分だ考えています。2年分でもやりましたが、同じ傾向でしたし。

 
グラフをしげしげと見ていくといろんなことがわかってきます。
まず、夜勤さんの終了時間の8時30分まではほとんど記録が書かれていません。そして9時を過ぎてから猛烈に件数が増加しています。
これが何を意味しているかというと、夜勤さんは勤務時間中にほとんど記録を書くことが出来ないということです。もしくは、穿った見方をすれば、経時で書くような重要な出来事は無かったのにお約束で勤務中の様子を書いているのかも知れませんね。
そして日勤に視点を変えると、当院は日勤終わりが17時30分ですが17:45をピークにだらだらと21:00頃まで記録が書かれています。17時45分以降、件数は減少していきますが、それと反比例する形で平均記録文字数が増加していくのが分かります。
ここから、日勤終わりのナースは時間をかけて長文を書いている傾向が見られます。
夜勤明けさんは時間の経過とともに件数と平均文字数がほぼ比例する形で減少し、疲れて記録が簡潔になっていく行動と真逆であることが分かります。
 
日勤でも夜勤でも勤務時間に記録が書き終わらない。特に夜勤さんは書くことすら出来ていないか、お約束で書いている。どちらにしてもこれは大変由々しき問題です。
本来であれば、勤務終わりの時間に向かって記録が増えていき、勤務終了時刻を過ぎたら減少していかなければなりません。
また、平均の記録文字数が140文字(240Byte)であることも問題です。記録する側も大変ですが、読む側はもっと大変です。
「日勤」-「週休」-「夜勤」のシフトだった場合で考えます。各勤務帯に1件しか記録が書かれていないと見積もった場合でも前回の勤務後の記録が4件書かれています。その日の勤務の受持患者が6人だった場合、6人×4件×140文字=3,360文字を読まなければなりません。
3,360文字って400字詰め原稿用紙8枚半ですよ。最低で見積もってもこれだけの記録を読まなければならないわけです。
なんだかもう考えただけでクラクラしちゃいます。
やはり記録は簡潔明瞭に書かなければなりません。
 
看護部長はじめ各師長さんも「記録は簡潔明瞭に」と口を酸っぱくして言ってはいますが現状は散々です。
このデータは看護部に提出し、このエントリーで述べたようなことも説明してこようと思います。
まず看護部にこの現状を直視してもらわなければなりませんし、出来れば現場のナースにも知ってもらいたいですね。Facebookでfriendのナースのみなさんには是非読んでもらいたいww
 
そんな具合で、Blogのタイトル「スプウン谷から看護をひとさじ」らしいエントリーになりました。
つか、これって医療情報学会の看護部会に論文出してもいいぐらいのネタだな。今年は例の可視化ツールで行こうと思ったけど、看護部会はこっちのほうがいいな。半日で作ったネタだけどwww
 

電子カルテ関連のエントリーまとめはこちらから