医事算定可能な看護データの抽出

先週末に急にある問題が発覚しました。
医事課の人が保険請求可能なコスト情報を熱型表から拾うのがとても大変で、時間外も増えているとのこと。
とても拾うのが大変なので職員を増やして欲しい(もしくは紙のコスト表を作って運用したい)となんだかとても大きな話になっているらしい。
新システム稼動前のワーキングで「コスト情報は医事職員が熱型表やカルテ記載を見て拾う」という運用で決まっていたのですが、いざ稼動してみたら多くの看護実施項目や経過表へのメモとして記入される情報が多くて人的資源が追いつかないそうだ。
 
私たちは、医事課の職員だから医事請求のプロであって欲しいし、更にはDPCの知識を踏まえて医師にサジェスチョン出来るレベルにまで到達して欲しい、日々の算定だけが仕事だと思っているような人たちをもっと高いところまで引き上げなければならないと願っていた。。
が、漏れ無く算定するだけで多くの時間を割かれているとしたらそれは問題だと私も思います。が、それと同時に、人を増やすとかいうマンパワーで解決しようとする思考をしているようではまだまだだなとも思いました。
当院にはETLツールという大きな武器があることが一般的に認知されていないこともそのような思考になってしまう原因でもあるわけで、とりあえずモノは試しで電子カルテに登録されている看護系の観察・実施及び記事情報を統合してリスト化する作業にとりかかりました。
で、およそ一日かかりましたが、以下のような画面が出来ました。

こんなふうに条件を設定(すべて非必須なので、好きなように抽出可能)し、ボタンクリックで検索条件にマッチした情報がズラッとリスト化されて表示される。フロントエンドにはやはりBIを使っているのでユーザーはブラウザで参照可能なわけです。

どの電子カルテでも、「コストの落とせる看護行為をいかに算定するか」は目に見えない大きな問題として存在します。マスタにフラグを持たせて帳票出力するとか、行為名称に「\」マークつけてみたり、その病院ごと様々な工夫をしていると思います。
でも、ETLツールで「看護行為のこれとこれとこれ」って指定して、拾いやすい(算定しやすい)ように分類を付与してあげるだけでニア・リアルタイムにペーパーレスで情報を得ることが出来ます。これだけでいちいち熱型表を開く手間が軽減され、算定の漏れも減らすことが出来るはずです。
たった1日で作れてしまうっていうのは本当にすごい。これをベンダーさんに頼んだら、要件定義から設計云々で実装までに数週間かかって、なおかつ費用も発生するかも知れません。そんな悠長なことをやっているわけにはいかないのですよ。だから、自力でやれる方法を構築しちゃったんですよ。
でも、正直言って、ここまで短時間で作れてしまうとは私自身想像しておらず、良い意味で期待を裏切られました。自分の思考ロジックをETLに落としこんでいくスピード感はたまらないものがあります。
これをもっと発展させて、看護情報と医事請求データのマッチングの自動化などにチャレンジしてみるのも面白いかも知れません。
 
さて、これで医事課の残業がどれだけ減るか楽しみなのと共に、省力化した労働力をプロとしての労働に向けてくれることを希望する次第です。
 
追記:
「医師のカルテからも抽出して欲しい」と要望されたら終わりです。患者のカルテを見ないでどうやって患者の状態を把握するのでしょう。それは算定を生業としているただの作業員として自分を見ている人の思考なのです。

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