脱原子力って可能なの?

はいどうも。前々回のエントリーにひき続いて原子力問題についてです。
今回の福島第一原発の事故以降、「原発危ない!」「原子力発電なんて無くしちゃえばいい!」という論調の記事やTwitを頻繁に目にします。
私はそのような方々に対してひとつ言いたいことがあります。
なぜ気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書(所謂「京都議定書」)に署名した時点で反対しなかったのですか?と。
温室効果ガスを日本は1990年比で-6%削減しなければならない。そんな中で化石由来温室効果ガスを大量に発生させる火力発電はその役目を「調整できる電力源」としてのみ存在し、日内格差の最低ラインまでは原子力でベースを支えていく、これが議定書への署名に内包した既定路線だと私はそう解釈した。
京都議定書?なにそれ美味いの?」の人が、今更「原発反対!」と臆面も無く言い放つことに対して疑問を感じる。
今はやりの「もしドラ(もしも高校野球の女子マネージャーがドラッガーの『マネジメント』を読んだら)」で幅広く認知されたピーター・ドラッガーの言葉を借りれば

自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。

のです。此処で言う自らは日本国であり、社会は国際社会、言い換えれば地球全体であり、先進国となった日本は社会の問題の解決に貢献する役割があるのです。
だから、京都議定書は否定されるべきではないし、社会貢献という観点からすれば化石由来温室効果ガスを排出しない原子力発電は「あり」なのだ。
つい最近まで私は上記のような考えで日本の役割、原子力発電の役割というものを捉えていました。
化石由来温室効果ガスを出さない発電、例えば太陽光・風力・地熱・波力による発電はまだまだ技術的に成熟していない、社会的インフラとして力を発揮するには数年から数十年かかると思っていました。
そして、今回の震災及びそれに起因する福島台一原発の事故で様々な情報を収集し、この考えが間違っていたことが分かりました。
もっとも感銘をうけたのは田中優さんという方の講演をUストで見たことでした。
【田中優さん緊急講演会 高画質版】
 
私が最も驚いたのは、欧州の某国では自然エネルギーが全体の7割を供給しているということ。そして、そこには日本のテクノロジーが用いられているということでした。「自然エネルギーはまだ未成熟」と考えていた私は甚だしく時代から取り残されていたのです。そしてスマートグリッドな街づくり。これの実用化はもう少し先でしょうが、東芝という日本のメーカーが開発した電池が大きな役割を占めています。
この講演は、ひとりでも多くの方に見て頂きたい。2時間の講演という長丁場ですが、必ず貴方に何かしらの影響を与えるでしょう。
 
これらを見て、私は言います。化石由来温室効果ガスを排出せず、尚且つ国内の電力需要に対応出来るような発電方法が原子力発電(水力発電もですが)以外にあるのであれば、原子力発電は要らないと思います。
次の世代(私たちの子供や孫)まで引きずるような危険な物は、この世代に生きるものとして選択しないようにすべきです。そう思います。
我が県の菅谷・松本市長が下記でこう述べています。そのとおりだと思います。

 でも、チェルノブイリでは事実、がんになった子どもが異常に増加した。そういった子どもたちを、私は現地で治療してきた。日本でもそうなる可能性があるのだ。

 もし自分の子どもががんになれば、その母親は一生悔いるだろう。なぜあの時水を飲ませたのか、あの野菜を食べさせたのかと自分を責め、一生苦しむはずだ。子どもだって切ない。そんな悲しい現実を、ベラルーシでたくさん見てきた。

チェルノブイリの経験を生かして悲劇を回避せよ――松本市長/医師・菅谷昭《下》(1)
 
実際に東京で放射能1平方cmあたり3ベクレルが検出(放射線管理区域は4Bq/平方cm)されている。この事実を貴方は知っていますか?国会の委員会でオフィシャルに発言された事実なのですよ。貴方の子供の遊んでいるその遊具。それからは3Bqの放射能が発せられているかも知れないのですよ。
 
前回のエントリーに出てきた熊取6人組も、4人が退官し、残りの2名もあと数年なんだそうです。この人達がいなくなったら、原発ムラと呼ばれるアカデミズムに「原子力NO」をいう人が居なくなってしまうそうです。
日本国民として、一時的なブームとしてこの原子力発電の問題を終わらせてはいけません。
現に、東海地震震源予定地に静岡の浜岡原子力発電所が稼動しています。もし、阪神淡路大震災や今回の地震の規模の地震が発生したら耐えられないそうなのです。そうして今回の福島第一原子力発電所のような事故が起きれば、放射性物質は偏西風に乗って神奈川や東京に直撃するでしょう。その時に、貴方の子供をどう守りますか?守れますか?
僕はたぶん守れないと思います。