電子カルテで得られるもの

ウチの病院は医師カルテ以外が電子化されているセミ・電子カルテの病院です。
電子化されていない医師カルテには指示簿も含まれていて、医者の書くものはすべて紙で、それをクラークさんが代行入力している。代行の問題はここでは触れないけど、遅かれ早かれ代行は廃止して医師の直接入力にしていかなきゃいけないし、それはウチの病院にとってはフル電子カルテ化と同義であるわけだ。
 
で、そろそろウチの病院も電子カルテの更新の検討を本格化させなきゃいけない時期に来ているのだけれど、すごく行き詰まっていることがある。
電子カルテを更新したら何が得られるのか」ってこと。今使っている電子カルテに何が足りないのか、4年前から電子カルテから何が進化たのか。これは整理しておかなければならない。
キーワードは

  • チーム医療
  • 標準化(パス含む)
  • データの二次利用の拡大

であることボクは考えている。
特に大きいのは「標準化」。医療の質の向上という医療面からもそうだし、原価計算などの経営面からもそう。今後の医療を語ると大方の議論は標準化に集約されていく。
先に挙げたキーワード、ウェイト的には、標準化:二次利用:チーム医療:その他=5:3:1:1ぐらいなんじゃないかなって思う。標準化と二次利用は密接な関係があるので一括りにすると8:1:1よ。
 
で、だ。
電子カルテの更新って病院にとって一大プロジェクトで、失敗しないためには現場の強力が必要不可欠。そのためには現場の医療者が食いつく餌が必要なわけ。誰だって自分にメリットがなきゃ「その気」にならないもん。
4年前の電子カルテ導入の際は「電子カルテにしたらいいことがある」「電子カルテは美味しいはずだ」という妄想・思い込みがあったと思う。だから「なんとなくそういう流れになって電子カルテが入っちゃった」みたいな。バブルみたいなもんだった。
そして「電子カルテって意外と使えないなぁ」っていうのを現場が知ってしまった現在、彼らをどう動かすかというのは非常に重要な課題だ。餌という動機付けが必須。
紙に書いて放ったらかしておいても後は誰かがちゃんと入力してくれる医師がわざわざ端末に入力する手間をかけるだけの餌。記録が既に完全に電子化されてしまったナースがさらに恩恵を受けれるような餌。
クリニカル・インディケーター?クリニカル・パス?
弱いよな〜。できるだけ多くのパス作って、PDCAサイクルに乗せて、バリアンス分析してっていう標準化のサイクル。その背後で動くDPC別パス別原価計算
テーマが目先に居る患者さまに対する医療・看護の話じゃないから「知らない人は全く知らない」で済んでしまう類の話なのよね。
興味が無ければ知らなくても仕事はできる。そんな人は多分この先も知ろうとは思わないだろうし。
そんな人に「標準化」をどうやって分かってもらおうかと思案するし、その方面の専門じゃないボクが言うことじゃないだろって思ったりもするし、そもそも語っても効果ないんじゃね?って思っちゃう。
標準化の話が通じない人種には「使い勝手が良くなりました〜!エヘッ☆」って言うしかないか?